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《村長への手紙》 仕様発注方式は資材価格上昇に対処困難であり、各地の自治体で建設工事の入札不成立が多発しています。について

記事ID:0008142 更新日:2023年3月28日更新

 

 以下の手紙を受け付けました。
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受付日 : 令和5年3月17日(金曜日)
公開可否 : 公開可
返信の必要 : 無
氏名掲載:可
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「仕様発注方式は資材価格上昇に対処困難であり、各地の自治体で建設工事の入札不成立が多発しています。 について」

 令和5年2月6日付の日経電子版記事「公共インフラ着工できない 物価高で入札不成立」によれば、自治体施設の建設工事の入札不成立が全国で相次いでいます。資材価格が上昇しているため、入札に先立ち自治体が設定した予定価格では、応札しようとする業者の採算がとれなくなる恐れがあることが共通の原因です。また、令和5年2月4日付の日経電子版記事「大阪万博、背を向けるゼネコン 採算低下で入札不成立」によれば、万博会場建設工事の予定価格設定後に資材価格が上昇したため、昨年6月以降に実施した21件の入札の内の10件が不成立に終わっています。
 上記の入札不成立案件は、いずれも仕様発注方式(設計と施工を分離して発注する方式であり、施工発注時の予定価格は、工事仕様書に基づく緻密な積算により策定)です。仕様発注方式では、使用する資材や工法は工事仕様書で詳細に規定しているため、施工受注者の裁量の余地はありません。また、予定価格策定時の資材価格は、一般財団法人建設物価調査会が毎月刊行する「建設物価」に基づきます。このため、予定価格設定後に資材価格の上昇が見込まれたとしても、その上昇リスク分を予定価格に反映させることはできません。従って、仕様発注方式では、資材価格の上昇に打つ手が無いと言えます。
 ところで、欧米諸国での建設工事の発注は、規模の大小を問わず性能発注方式(設計と施工を一括して発注する方式であり、発注時の予定価格は、要求要件を示した要求水準書に基づく業者見積の徴収・査定により策定)です。性能発注方式では、使用する資材や工法は、要求要件を満たす限り受注者の裁量で決める(承認図書で発注者の承認を得る必要)ことができます。このため、資材価格の上昇が見込まれる場合には、受注希望業者は、その上昇リスク分を見積価格や入札価格に反映できる上に、最先端技術の活用や創意工夫により使用する資材や工法の最適化ができます。
 我が国では、新国立競技場整備事業が、性能発注方式で成功した唯一の公設公営事業です。新国立競技場は、仕様発注方式による整備に向けて2年半もの設計委託期間と60億円余りの設計委託費を費やした挙句に、工事費試算額の高騰により事業計画全体が白紙撤回され破綻しました。しかし、その翌月には性能発注方式で蘇り、外部委託せずに1ヶ月ほどで作成した要求水準書に基づき、業者選定、設計、施工の各プロセスが滞り無く進み、当初の予定どおりに新国立競技場は完成したのです。
 我が国では、仕様発注方式による失敗を仕様発注方式の手直しで克服しようとしてきましたが、成功事例は殆ど見られません。新国立競技場整備事業は、仕様発注方式による失敗を性能発注方式に切り替えて克服できた初の事例です。このことから、資材価格上昇等により仕様発注方式では失敗しそうな場合には、最初から性能発注方式とすることが望まれます。
 問題は、我が国の自治体では、性能発注方式の実践経験が殆ど無いことです。加えて、多くの自治体では、性能発注方式を「性能規定発注方式」として殊更に難しく捉えてしまっています。しかし、性能発注方式を難しく考える必要は無いのです。
 なぜならば、どの自治体でも設計委託発注時には、性能発注方式の取組み方だからです。仮に、仕様発注方式の取組み方であれば「このとおりに設計してくれ」となりますが、これは極めて不自然であり得ないことです。そこで、実際には、「このようなものを設計して欲しい」といった要求要件を暗示的に設計業者に伝えています。これらは要求要件ですから、明示的に纏めれば紛れもない要求水準書となります。このような要求水準書を用いれば、設計委託発注時に、複数業者による価格と技術の両面での競争原理が働くようになります。
 さらに一歩進んで、「このようなものを設計して欲しい」とした要求要件を、「このようなものを作って欲しい」に修正するだけで、自治体が性能発注方式で設計・施工一括発注するための要求水準書となるのです。
 最後になりますが、自治体が設計・施工一括発注する際の対象業者は、設計能力を有する施工業者に限る必要は無く、従前から設計を請け負ってきた設計専門業者も対象にできます。設計専門業者が受注した場合の施工については、設計専門業者と付き合いのある地元の施工専門業者に下請(事前に書面による発注者の承認が必要)させれば良いからです。設計能力を有しない地元の施工専門業者についても同様(設計については書面による発注者の承認を得て設計専門業者に下請)です。
 以上を、ご回答不要の提言として中川村に具申しますので、真摯なご検討を賜れば幸甚に存じます。  

***************** 以下コメント *****************

仕様発注方式は資材価格上昇に対処困難であり、各地の自治体で建設工事の入札不成立が多発しています。について(コメント)

 このたびは貴重な意見をお寄せいただき、ありがとうございます。

 貴殿のご提言も参考にしながら、公共工事として適切な発注方法を検討してまいります。

 

 令和5年(2023年)3月27日

 中川村地域政策課長 眞島俊

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