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《村長への手紙》 化学物質過敏症(香害)の勉強会内容、伝えるについて

記事ID:0005984 更新日:2022年1月19日更新

 以下の手紙を受け付けました。
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受付日 : 令和3年12月22日(水曜日)
公開可否 : 公開可
返信の必要 : 有り
氏名の掲載 : 掲載不可 
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「化学物質過敏症(香害)の勉強会内容➀➁、伝えるについて」

 

化学物質過敏症(香害)の勉強会内容➀について

 先日、文化センターで開かれた勉強会に参加させていただきました。私自身は「香害」という悩みはなかったのですが、知るきっかけ、理解をしたいというきっかけ作りになりました。参加してみて感じたこと想ったことを率直にお伝えしたく筆を執らせていただきます。中川村議員で環境カウンセラーの先生がお話しになっていた「2.有害化学物質とは」という内容。そこでは、大大と公の場で、メーカー様の商品が商品名を隠すことなく展示され、説明にも使用されていました。また、当日配布された資料にも、メーカー様名、商品名が羅列されており、「C Mに乗せられずに、」とも書いておられました。議員という公職であり、現職である方が企業の名を勝手に使用しての活動(団体での)は、村長さんとしては、このような対応(あくまでも一個人でなく団体として)はどう想われますか。あたかもこの企業のこの商品は「悪」である。とも受け取られてしまう人もいるかもしれません。資料にもありましたが「少しでも不安なら、わからないなら使用は一旦やめましょう」これも企業を「悪」と考えなりかねないのではないでしょうか。村の中での話ならまだしも(?)これから発信していくのであれば、このような公職の人たちが(議員さんに限らずとも)、このような発信の仕方は反感もあるのでは・・・。村長さんが、このような伝え方を承認した理由はありますか?

化学物質過敏症(香害)の勉強会内容➁について

 私自身は「香害」という悩みはないのですが、仕事柄いろいろな方に触れ、また毎日10kg近くの洗濯物を洗剤を使用し行っているので興味があり今回参加させていただきました。そこで疑問に想った点がいくつかあり村長さんはどうお考えか、意見を聞いてみたく筆を執りました。事例紹介では実際に困っている方々の話を聞かせていただき、お辛い想いをされているのだなと理解することはできました。さて、その先、理解からの協力・考動(考えて動く)となると非当事者はどうしたらよいでしょうか。困っている方のために、○○をする。○○に変えてみた。確かにとても良いことだと想うけれど、いざ大きな社会に出た時、それが通じるのか・・・。「今」でなく、これから先の子ども達を考えていかなければならないのでは?当事者が「つらい、つらい、わかって、わかって」と正直被害者的なネガな発言だけでは、周囲の理解は得られたとしても協力してくれるのだろうか。『誰もが安心して暮らせる村づくり』(団体のテーマ)になるのだろうか。これから先、香害というものを伝えていく側も、伝え方というのをまちがえてはいけないのではないでしょうか。「つらいの、だからわかって」でなく、「こういう工夫をしています」「こういう活用があります」など、プラス面を伝えることもしないと周知されても協力は得られるまで時間がかかりそうな・・。村長さんだったら、どう村民に伝えていきますか?

伝えるについて

 前述したよう「伝える」というのはとても難しいと私は想っています。伝える側がどんなに「伝える達人」レベルでも、受け取る側が「受け取る凡人」だったら何も響かない。今は「村」の中での活動かもしれませんが、県内外からも連絡があるようですね。私のように害がない人が伝えていくことも一つの方法(逆に利用できる人材)だと勝手に想っています。こうしたらもっといいかもね。ああしたらすごくよかったよ、と考えて動く、まさに「考動」する。害で困っている人、害に困らない人が意見を出し合うことで改善していくので、どうしても「わかってほしい、理解してほしい、協力してほしい」と主観に囚われてしまいます。(香害に限らず人間は皆そう)だからこそ、害のない人にも伝えられるよう考動する。試行錯誤してみる、それが団体が言っていた「正解がないこと」につながるのでは。だからこそ成長できる。だからこそ伝えていける。もう少し、村としても団体に協力(?)しているのであれば、「伝え方」を工夫して県内外に発信していかないと、誤解や偏見も招きかねません。「くさい物にはフタ」のように害で困ってない人がどう想い、伝えていくかも、きちんと村として意見を聞いてほしいです。

 

***************** 以下回答 *****************

  村長への手紙、ありがとうございます。いただいたご意見につきまして、次のようにお答えします。

 「化学物質過敏症(香害)の勉強会内容についての村長等の公職にある者の立場について」

 村長への手紙をいただきました。昨年12月に手紙を頂きながら、回答が遅れてしまいましたこと先ず、お詫びを申し上げます。今回の化学物質過敏症(香害)の企画を村として承認し、村民にも呼び掛けた経過について記します。

・合成化学物質である香料の香り(臭い)が原因で、登校できなくなった中学生がいること、また、同じように都会で「香り」に耐えられずに、職業を変え、村で野菜の栽培を行う人がいることを、村民の皆さんとの村づくりに関しての意見交換の場である「テーマ別懇談会」で知るところとなりました。しかも、「香害」に関しては、政府関係5省庁も併発を行うほど社会問題化していることも遅ればせでありますが初めて知ったところです。

・12月議会定例会において、環境過敏症対策を「環境にやさしい村づくり」に取り組む第一歩にというテーマで一般質問をいただき、村民の意識が香料の使用の自粛になるまでの道は遠いが、香りの害の正しい理解と環境過敏症が存在することをわかることを手始めに環境に優しいむらづくりという面からも取り組んで行くと答弁致しました。

・村民にもこのことを広く知ってもらう機会が必要と考えていましたが、「エコライフ中川」の皆さんからの申し出もあり、良い機会として捉え勉強会の後援を行ったものです。

・香害だけでなく、マイクロプラスチックが海洋に出て、海洋生物にも取り込まれ、また、人体にも蓄積されているという報告があることや、洗剤に含まれる合成界面活性剤は、発がん性が疑われることなどを若い時に知識として得たことなどが重なり、香害に関しての勉強会を拠り所にして、環境について考えていく機会でもあると考えたものです。

ご質問いただきましたのは、4つの点でありますので、それぞれの質問についてお答えいたしてまいります。

質問1 有害化学物質について、台所合成洗剤、洗濯用合成洗剤等に含まれる物質を製造メーカーの名前を隠すことなく展示し、又商品名を羅列して説明をしたが「現職の議員という公職の場にある者」としてこのような行動をどう思いますか。

質問2 (発信の仕方によっては)特定の企業の製品は悪であると捉える人もいるかもしれないし、村の中での話ならまだしも、これから発信していくならば議員に限らず、公職の人たちの発信の仕方に反感を持つ人もあると思いますが、村長がこのような伝え方を承認した理由は何ですか。

回答1 最初のお尋ねの件について。結論から申せば、発言の制限は、議員であれ、個人であれ制約を受けるものではありません。発言の根拠が事実をもって分析し説明しているかどうかが問われるのであって、受け取る側をあたかも「事実」のように言葉巧みに誘導することがあってはなりません。そうであるならば発信者の責任が問われると考えます。勉強会では、台所合成洗剤や洗剤などの製品に含まれる化学合成物質(第一種指定化学物質)が、製品の後ろに小さく表示されていること、使用上の注意も小さく表示されていて、ほとんど見落としてしまうこと。などの説明があり、これらの化学物質を含むのは、こういった製品であると表示をすることは論旨の展開で必然ではなかったかと考えます。あくまで、これらの製品を作っている企業は悪であることをテーマにしたのではなく、家庭用洗剤等の使用には細心の注意を払うべきことを説明したものと考えます。

回答2 村長として、エコライフ中川の皆さんが香害で苦しむ人が身近に存在することを、圧倒的に多いと思いますが「気にならず、気づかない」村民と話し合いを通じて知り、自分たちはどうしていけばよいかということを皆が考え、できることがあれば実践してみる。あるいは、村にこうすべきと提言していただくようになれば良いと考えるものです。説明者の発言に反感を持つ方もいると思いますが、そのために何ができるかという「合意できるもの」が生まれればそのことが、村も少しづく変えていくことになると考えますので、水環境を中心に、環境問題に取り組んでおられるK村議を講師とした勉強会の承認を致しました。

質問3 香害に苦しむ当事者の辛さ、わかってというネガティブな発言だけでは周囲の理解は得られたとして、協力してくれるのだろうか。「誰もが安心して暮らせる村づくり」につながるのだろうかと疑問に思います。香害に遭わないために、「こういった工夫をしている。」、「こんな活動がある。」といったプラスになる伝え方がないと周知されても協力は得られない。村長はどう考えますか。

回答3 先ずは、実態を知ることだと思います。香に対する感受性は多くの人には理解できないと思うからです。大量の洗濯物と毎日格闘をされている多くの女性(もちろん、男性もいる。)が、扱いやすい合成洗剤や、爽やかな香りの続く柔軟剤を使う現実を見れば、「頭では理解するけれども、ウチではヤメルことは難しい。」のが多くの方の本音ではないかと思います。

こんな工夫をすれば、合成洗剤でなく、石鹸でも十分汚れが落ちるとか、柔軟剤を使わなくても済む工夫などを発信することがこれからの方向として必要ではないかと思います。

講師を務めた、K村議は、琵琶湖の水質浄化のために、公民館講座で石鹸使用の運動を続けてこられた方と聞いていますので、村民に香害を知ってもらう勉強会に加え、次の段階としてこのことを広く組織していくように牽引してもらえればと考えます。エコライフ中川に皆さんも、このような取り組みに発展するように期待するものです。

質問4 村もエコライフ中川の発出に協力するのであれば、「伝え方」を工夫して、県内外に発信していかないと誤解や偏見も招きかねない。害で困っていない村民がどう想い伝えていくかも、きちんと村として意見を聞いてほしい。

回答4 香害に苦しむ村民を想い、多くの村民が健康な生活ができるように、村民ができる工夫をしている村と村外の皆さんに知っていただけるよう取り組んで行きます。もちろん、そのことが目的ではなく、結果として理解していただければよいと思っています。先ずは、知見を共有するため専門家のお話を聴き理解を深めることから始めたいと考えております。長年、厚生労働省の研究班員として、米国で開発され多くの国で使用されている化学物質過敏症用問診票の日本語訳版を作成し、それを用いた疫学研究結果を発表してこられた疫学の専門家を招聘して、この問題について深く知る機会を得ました。コロナウイルスの感染再拡大で1月末に予定した講演会は4月に延期することになりましたが、専門家の知見で様々な疑問、取り組み方についても実例を引きながら示唆に富んだ指摘をいただけるものと期待しております。因みに、この先生は、母方が村の出身であり、高校卒業まで伊那地方で生活されていた方です。

 以上ご質問について、回答を申し上げました。この問題は、多くの人にとって何でも無いことが、解決を難しくしているし、化学物質で溢れている現代社会にあって、これらの物質から距離をとる生活は難しいことも事実です。一方、地球環境の保全という面を無視できない現代でもあります。香害を切り口に考え、少しずつでも変えていくことができればと考えます。どうか、よろしくお願いします。

                                  2022年(令和4年)1月19日

                                     中川村長 宮 下 健 彦

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