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二つの高嶺の雪は青空に映え、伊那谷特有の凜とした美しさを際立たせる一方、春の訪れを間近に感じさせる今日、中川中学校の卒業式が挙行されますことに村民を代表し、心からお祝いを申し上げます。
本日、義務教育のすべての課程を終え、卒業証書を手にされました四十五名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
また、ご列席のご家族、校長先生はじめ教職員の皆様には、これまでのご労苦に深く感謝申し上げますとともに、ご来賓の皆様方の中学校へのご支援とご協力に対し、厚く御礼申し上げます。
今年の冬は、久々の寒気厳しい冬の入りに続き、九年ぶりの大雪に見舞われましたが、最近は暖かな日が続き、桜の開花も早まる予想となっています。
萌え出る春に向け自然の胎動が始まろうとしているいま、皆さんを新たな世界に向けて羽ばたかんとする、若い鳥達に重ねています。
皆さんが小学校を卒業する3年ほど前から未知の感染症に対する警戒が始まり、中学校の入学式も関係する人のみでの実施となりました。感染症の正体が新しいタイプのコロナ型ウイルスの仕業と分かってからも、強い感染力に対する警戒から中学校での行事の数々や部活動等も様々な制約を受ける三年間の中学校生活であったであろうと想像しています。
昨年、久しぶりに皆さんの代表十人が代議員となり、現状の村の施策に対しての分析を行ったうえで、質問とともに、積極的な提案をいただいた「子ども議会」が、私の中で強く心に残っています。中学校での学びが実社会に繋がっていることを感じましたし、特に、「結婚」についての新しいかたち「パートナーシップ制度の実施」は、村においても近い将来のことと考えるに至っております。
3年間の中学校での勉学、運動、文芸部活動そして友人と過ごしたかけがえのない日々の積み重ねは、皆さんを大きく成長させたと想像しております。皆さんの今の気持ちは、卒業で友と分かれる淋しさと共に、新たな世界を前にして、ワクワク感、高揚感とともに、まだ見ぬ世界に少しの不安感が入り交じったものであろうかと思います。
これは、皆さんのお父さんやお母さん、私も含めどの世代も経験してきたものです。
名にし負う天のなかがわ
皆さんは、豊かな自然と穏やかな村民の気風といった中川の風土の中で育まれてきました。中川中学校卒業生であることを胸に、臆することなく新たな世界に踏み出してください。
改めて、卒業生の皆さんの洋々たる前途を祝福し、ご参会の皆さまのご多幸を祈念申上げ、お祝いの言葉といたします。
本日は誠におめでとうございます。
令和4年3月16日 中川村長 宮下 健彦