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令和5(2023)年度予算提案と村政運営の基本方針について

記事ID:0008020 更新日:2023年2月28日更新

令和5年度の予算の提案説明に併せて、村政運営の基本方針について説明させて頂きます。

国の当初予算と地方振興対策

 さて、国は令和5年度の一般会計予算案を示し国会で審議中ですが、一般会計予算の規模は、114兆3,812億円で対前年度比6兆7,848億円増の最大の予算となっています。歳入の柱である、所得税等の収入は、コロナから回復した令和4年度税収を4兆2,050億円上回る、69兆4,400億円を計上しています。公債金は35兆6,230億円と前年より1兆3,030億円圧縮していますが、特例公債(赤字公債)は、29兆650億円となっていて、昨年度予算より1兆6,100億円削減してなお、歳入の31.1%を占めるものとなっています。令和2年度はコロナ対策のため90兆円の赤字国債発行額に比較すれば3分の1ではありますが、依然として借金体質に変わりがありません。

 歳出のうち、一般歳出は72兆7,317億円で対前年度比5兆3,571億円増となっています。そのうち、社会保障関係費は、36兆8,889億円で前年対比6,154億円増となっています。社会保障関係費以外は30兆8,428億円で、前年対比4兆7,417億円と大きく伸びていて、内訳では防衛関係費が6兆7,880億円で対前年度比1兆4,192億円と大きな伸びを示しています。これは、新たに策定した国家安全保障戦略等3文書に基づく予算配分と説明しております。

 地方交付税交付金等は16兆3,992億円対前年度5,166億円の増、新型コロナウイルス感染症対策及び原油価格・物価高騰対策重点の予備費は、4兆円と1兆円減額しましたが、同額をウクライナ情勢を受けて広島開催のG7サミット他の重要会議、並びに円安・物価高の対策として緊急対応予備費としており、合計で前年同額の5兆円を計上しています。

令和5年度予算のポイント

  1. 新たな国家安全保障戦略に基づき、5年間で43兆円の防衛力整備をおこなうこと。令和5年度は新たに防衛力強化資金(仮称)繰入れ3兆3,806億円を原資に合計10兆1,686億円を計上すること。
  2. 妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と妊婦・子育て家庭に対する経済支援(合計10万円相当)等をパッケージ支援するこども政策の重点化
  3. 近年増加に転じていた地方交付税交付金は、18兆4千億円とリーマンショック後最高額を確保し、デジタル田園都市国家構想総合戦略の策定を踏まえて地方自治体のデジタル実装化、デジタルの活用による観光・農林水産業の振興などで「地方創生の取り組み」を支援
  4. 2050年カーボンニュートラル目標達成に向けた革新的な技術開発、民間のGX投資を支援する「GX経済移行債」の発行の取り組みを開始

総務省が2月に公表した令和5年度地方財政計画によりますと、

  1. 一般財源総額62兆2千億円前年比+2千億円で、内訳地方税・地方譲与税45兆5千億円前年比1兆6千億円の増、地方特例交付金等2千億円で変わらず、地方交付税は18兆4千億円前年比3千億円増、不足を補う臨時財政対策債は1兆円前年比8千億円減と抑制しております。このことは、村の予算の歳入夫々の科目の算出の根拠となっております。
  2. 主な歳出項目では、次のとおりです。
    1. 地方創生推進費1兆円プラス地域デジタル社会推進費2千億円に加えマイナンバーカード利活用分5百億円の合計1兆2,500億円をデジタル田園都市国家構想費として確保
    2. ​地方自治体の脱炭素化の計画的実施を後押しする新脱炭素化推進事業費1千億円を計上し、公営企業についても地方財政措置を拡充

県の予算

 一方、県の一般会計当初予算案は、1兆457億円と前年対比3.6%減(393億円)と過去最大の令和4年度予算を下回る規模となっています。

 新型コロナウイルス感染症対策に1,848億円と、令和4年度当初予算比15.7%(344億円減)となりました。令和4年度11月補正予算626億円と合わせると、1兆1,082億円となっています。

 令和5年度を始期とする総合5カ年計画「しあわせ信州創造プラン3.0」の政策の柱に基づいて主要な事業を説明していますが、特徴政策と支出は次のとおりです。

  1. 持続可能な脱炭素社会の創出のため住宅の「オールZEH化」の推進、新エネルギー自立地域の創出支援、再生可能エネルギー設備の導入支援、「信州の屋根ソーラー」の普及事業に予算付けした事。
  2. 災害に強い県づくりを推進するために、地域の中核として避難対策等に取り組む防災人材の育成、盛土規制法に基づき、人家等への影響区域指定のための基礎調査の実施などが揚げられます。

 県は、2050年ゼロカーボン実現に向け、再生可能エネルギーの更なる生産拡大進めるため、屋根設置型に加えて地上設置型の太陽光発電事業の促進を打ち出す考えでいます。その際、事業の適正化に向けて、市町村条例を補完する形で、広域的なルールを定めた県条例制定に向けた検討を開始するとしています。

 また、直接予算に関連するものではありませんが、誰もが多様性や違いを認め、人権を尊重しともに支え合って暮らすことの出来る公正な社会の実現を目指す「長野県パートナーシップ届け出制度」の創設を目指すとしておりまして、村として関心を寄せ、また歩調を合わせていく課題であると思っております。

村の予算

 コロナウイルスの感染防止に一人一人が配慮しつつ、高齢者等の重症化予防のワクチン接種体制をとりながら、経済活動を回復させ社会活動も元に戻していくウイズコロナの日常に戻ります。しかしながら、高騰する燃油、電気料金、物価の値上がりは暫くの間は続くものとみて、村民の消費喚起、経済循環の一助となる時宜に叶う施策、及び農業、商工業など原材料費の高騰に対する助成等含めて支援策を打ち出していくことを最初に表明します。

 そして、国・県が政策の柱とする支援対策を効果的に予算に取り入れることに留意し、第6次総合計画に示された「10年後の村の姿」をそれぞれの分野で着実に進めることを基本に、国が示している地方財政の見通し・予算編成上の留意事項に注視して予算を編成しました。財源の49%を占める地方交付税については、国の地方財政計画と令和4年度の交付実績額をもとに増額を見込み、村税に関しても同様に堅く増額を計りました。ふるさと応援寄付金=ふるさと納税が堅調に伸びていまして、日本で最も美しい村なかがわむらを応援してくださる方が増えています。また、公共施設等整備基金も有効な財源として活用することとしました。

 お配りした「令和5年度一般会計予算案の概要歳入歳出並びに特別会計、事業会計概要説明書」で事業の概要と予算額の説明を申し上げますが、令和5年度の力点をおきますことを中心に述べさせていただきます。

 最初に、一般会計、特別会計、及び事業会計の総額と主な理由について申し上げます。

 令和5年度一般会計予算額は、39億2,800万円、前年対比7.6%、2億7,750万円の増額の予算でございます。

 3つの特別会計を合わせて総額11億1,400万円、前年対比5.4%、6,400万円の減少です。その内、2つの会計が減額しました。国民健康保険事業会計は被保険者減に伴い、保険給付費等が減少したこと、介護保険事業会計についても要介護認定者の減少が見込まれ、使うサービス内容により給付費が大きく変化しますが、総合事業と介護サービスを適正に利用することで、介護保険給付費の減額予想となったものです。後期高齢者医療会計は、被保険者が微増しており若干の増加となっています。

 公営企業会計の水道事業会計及び下水道事業会計の歳出ベースでの総額は9億5,576万円、前年度比1億8,576万円、24.1%の増額です。

 水道事業会計は、飯島町からの受水エリアを更に広げるため給水連絡管路工事、集中監視システムの更新など資本整備費が増額の理由であり、下水道事業は、マンホールポンプの更新、飯島町と共用する汚泥移動脱水車購入負担金が大きく影響しています。

一般会計に予算計上した令和5年度のポイントである事業について

(1)子育て家庭を全力で応援する

 第一点目は、中川村は子育て家庭を全力で応援することを改めて申し上げます。お母さんの妊娠から、出産を経て、幼児期から中等教育を受ける期間を通して、子育て家庭に寄り添い決め細かく支援していきます。

 国は、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と妊婦・子育て家庭に対する経済支援(合計10万円相当)等をパッケージ支援するこども政策の重点化を行うこと、これを「伴走型支援」と言いますが、村の独自の施策を更に拡充しました。

個別に申し上げますと、次のとおりです。

  1. 妊娠中や産後にあって家事が困難な家庭の家事全般を支援する「産前産後ヘルパー事業」を始めること。
  2. 妊娠中や産後の食事作りが困難な家庭に対して「産前産後配食サービス事業」を始めること。
  3. 福祉タクシー券を妊娠中から産後1年間までの母子に配布し、健診を受ける際に、タクシー利用を後押しする「産前産後移動支援事業」を始めること。
  4. 村単独で実施しています「出産祝い金」の増額、出産し退院後の母子の健康に不安がある場合、再入院して療養する「産後ケア事業」の補助額や利用日数の拡充を行います。ファミリーサポートを利用しやすくするために利用料補助額の引き上げ、一時的に未就学児を預かり保育する「一時保育事業」には、事業所にも補助し一時保育事業の維持、継続化を図ります。
  5. 保育園で使用したおむつの持ち帰りを廃止し、保護者の負担軽減と感染症の予防につとめます。また、3歳以上児の副食費を無料とします。
  6. 小学校、中学校入学祝い金・通学かばんをお送りすることは継続し、1年間にかかる学校給食費の5分の1相当額、村産のコメ代の全額を継続して村負担とし、昨年同様に食材高騰分に関しては全額村が負担します。
  7. 高校生通学に関して、高校生相当年齢者には、巡回バスの定期券を無料交付し、通学に利用する鉄道およびバス定期券の補助上限額を2万円から5万円に引き上げ、寄宿舎等の費用も補助対象とします。
  8. 高等学校就学費用の一部を補助し、1学年時には10万円、2、3学年時はそれぞれ5万円を補助し保護者負担を軽減します。
  9. 小中学校学年行事に関連して、修学旅行等でバス事業者を使用する場合利用助成を行うなど制度を充実するとともに、理科、技術家庭科及び外国語の英語など専科教員を確保するよう一層努めて行きます。

(2)将来にも安心して耕作が続けられる地域づくり

 二点目に、将来にも安心して耕作が続けられる地域をつくり、コスト低減した農業ができるように小和田地区農業基盤整備事業に着手します。

 地域の課題は、十数年に1回は天竜川の増水により全面冠水する低地にあるため、リニア中央新幹線トンネル掘削発生土及び小渋ダム堆積土を利用し基盤を上げ、冠水に強いほ場に整備します。

 また、GPS利用の農業用機械の自動運転や用排水の自動管理などスマート農業に対応するほ場面積に変え、水田の貯水機能に着目した「田んぼダム」の一時貯水可能なほ場畦畔高を持つ基盤整備を計画しています。天竜川流域治水のモデルケースである小和田地区の圃場整備に続き、国管理の天竜川及び県管理の坊ケ沢川の河川堤防整備が順次着手されるならば、安全で安心の地域に変わる期待の大きい事業と考えております。

 令和5年度の事業は、大きく申し上げますと、次の2点を主とした事業です。

  1. ほ場の造成、道路、排水河川等の詳細設計及び土地改良事業の実施設計と換地原案の委託作成
  2. 現ほ場の耕土を剥ぎ取りストックする工事

(3)安全で安心な地域づくり

 三点目に、安全で安心な地域づくりに大きく貢献する、中川橋上流部の天竜川南向地区堤防工事が進められます。天竜川護岸工事と関連するため、天竜川に流入する鳳来沢川の河川改修工事と、河川に並行する村道漁業池線の改修工事を村が先行して行います。河川改修工事が7,000万円、道路工事関係で1億円と2工事で通常年の道路改良工事費総額を上回る大きなものです。計画に沿って主要村道改良工事を進めていますが、令和5年度については、緊急度の高い路線に絞って施工することとし、新規路線の事業化は見送ることとしました。

(4)2050年カーボンニュートラルに向けて

 四点目に、2050年カーボンニュートラルに向けて、現有計画の地球温暖化対策実行計画事務事業編を見直し、あわせて地球温暖化対策行動計画区域施策編を策定します。現計画事務事業編では、長野県が中間目標である2030年に60%削減が公共施設では達成できないばかりか、農・工・商業産業界と村民全体で夫々の目標を持ち計画的に進める羅針盤が今はない状態です。

 今年度は、区域施策編策定に重点を置き、計画調査作成業務委託料1,100万円を計上しました。また、公共施設における太陽光発電設備設置可能性調査委託業務220万円を計上しました。

(5)中川村の小・中学校教育のあり方について

 五点目に、中川村保育園、小・中学校のあり方検討委員会が2年にわたる検討を終え、村教育委員会に対してこの3月に、「中川村の小・中学校教育のあり方」について答申する運びとなりました。答申後、教育委員会から村長に対しても説明があります。今後、どのような小・中学校の姿にしていくかについて、詳細検討に移るものと承知しています。

 ソフト面とともにハード面の検討も具体的に進められることになりますが、例えば、新しい小・中学校の校舎はどうするのか、それにともない地域のあり方はどうしていくのかなど、村の公共施設の全体の姿も含めた議論も必要になるだろうと想定しています。関係の皆様ともしっかりと議論し、村としても具体化に向けて動き出す年になると考えております。

 

 以上、新年度の行政運営に当りまして、重点と考えております事業について、5点にまとめて申上げました。引き続き、村民並びに議会の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願いし、令和5年度村政執行の基本方針説明とさせていただきます。

 なお、新年度一般会計予算の概要は、副村長から、特別会計、事業会計は担当課長からご説明いたしますのでお聞き取りください。よろしく、お願いいたします。

令和5年2月28日
中川村長 宮下健彦