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《村長の部屋》 令和3年3月議会定例会 閉会あいさつ

記事ID:0004705 更新日:2021年1月28日更新

 3月定例議会の閉会に当たり、一言ごあいさつをいたします。

 3月1日から19日の長い期間にわたる議案審議で、大変お疲れのことと思います。この中で、本議会に提出致しました令和3年度一般会計および特別会計等予算をはじめ20件の議案と、本日提出しました中川村固定資産評価審査委員会委員の選任についての議案を全て可決、承認をいただきました。改めて、お礼申し上げます。

 この場をお借りして、担わせていただいた4年間について振り返り実現したこと、手もつかなかったことと、コロナウイルス感染症の蔓延する4年目を経験し、これからの課題として考えることなどについて述べさせていただきたいと思います。

 子どもから高齢者、障害のある方々に関しての福祉施策については、福祉医療費窓口負担をなくし、長年の懸案でありました障がい者の日中活動の場所である地域活動支援センターの開所に漕ぎつくことができました。しかしながら、健常者も障がい者も、そして高齢者も地域で共に生きるような仕組みづくりは簡単にはできそうもなく大きな課題であります。

 農業を活性化させ、商業、工業も元気な村をつくることを大きな政策に掲げてまいりました。農業振興では、高い生産技術、恵まれた土壌の自然条件から生産される果樹類やこだわりの野菜など、都市部に対して中川産農産物を売り出そうと生産者のご協力を得てデパートや道の駅などで売り込みを行ってきました。

 また、村の農業振興、農産物販売支援、観光交流の拠点(ハブ)となる施設として検討を進めてきた中川村農協観光交流センターが、旧JA片桐支所の施設を利用し、いよいよ本年4月に開所する運びとなりました。
農業後継者、新規就農者を育成するため、担い手育成支援補助制度を作り支援してきました。新規就農者が増えつつあります。

 一方、村として、耕作を継続し、農地の荒廃化を防ぎ、地域を守っていくために設立された農業法人みなかたの(相談)育成支援を行うこと、片桐地区営農組合の(経営の安定化支援)今後の方向付け(運営の見直し)支援については、正直なところできませんでした。農産加工施設つくっチャオについても、施設を有効に利用し、新たな農産加工品を生み出すなどの政策は掲げたものの、活発な試作品づくりにはに至らず、法人、営農組織、加工組合と正面から向き合い議論する姿勢が欠けていたと反省をしています。

 商工業の振興についても、商工祭テント市の開催、中川町商工会と青年部の新たな交流など、小さいながら独自の取り組みが始まりました。もう少し後押ししていたら、新たな展開があったかもしれないと思います。

 村の農産物や訪れてみたい場所の紹介など、村を売り出す入り口である中川農業観光交流センターがなんとか立ち上がることができたことは、JA片桐金融店舗の閉鎖という、農家にとってマイナスな点はありましたが、農家やチャオ商業者のみなさんの期待に応える明るい材料と考えています。

 陣馬形キャンプ場を訪れる村外者のSNSを使った発信力、里山の特徴ある美術館の企画の数々、創業120年を超える伝統を守りつつ近代的な装備から生産される美酒の蔵元など、見所、味わいどころが中川村には多くあることに気づかされましたし、美しい村中川村を応援していただく企業にも恵まれました。

 坂戸橋が重要文化財指定されたことで、桜並木や坂戸公園など坂戸橋周辺の整備と建造物としての橋の活用は多方面に考えられ、期待感が増す思いです。

 経済活動優先で顧みてこなかった二酸化炭素など温室効果ガスの大量排出が気候危機をもたらしています。

 再生可能エネルギーである木に着目し、木を切り出し、地域通貨に変え、里山の整備を進める取り組み「木の駅実行委員会」が結成され活動して3年が経過しました。高齢者憩いの家の熱源に変えて、計算上では年間120トンの二酸化炭素削減の取り組みを始めました。公共施設の化石燃料削減は、重油からエアコンに替え、下水道処理場に太陽光発電パネルを取り付けるなど、まだ着手したばかりです。

 一方、規模の大きな太陽光発電施設の危険な箇所への規制と地域住民との協議を求める条例を制定するなど、長野県ガイドラインより一歩踏み込んだ条例制定ができたことは、議会の同意もあり大きな成果と考えております。

 中川村の人口は、毎年50人を超えるペースで減少しています。移住・定住促進を進めるために、子育て世帯の住宅建設支援、3世代同居のための新増築支援にかなりの額の補助金をもってするなどしてきました。また、若い地域の担い手不足に危機感を持つ地区と議論を重ねて、お試し住宅建設と小規模ながら分譲地造成を行いました。Uターンなど村外からの入居者含め応募はありましたが、移住者が増えている状態にはありません。今後、移住、定住に結びつく手を考え、絞り込んだ別の手を進める必要があるかと思うところです。

 リニア中央新幹線トンネル工事発生土を半の沢に盛土した上に県道を築造する案については、4年間の議論を費やしました。盛土をして、県道敷として長野県がずっと管理することになりましたが、砂防専門の先生方による指摘と設計の変更、完成後の安全管理について4回にわたる検討会が行われ、最終的には下流地域の渡場のみなさんの大筋の理解が得られるまで長い議論がありました。結果として、盛土案に同意し、盛土確認書を結ぶこととしましたが、盛り土工事から完成、完成後の管理と状態の監視を続けつつ、下流域の住民のみなさんの安心と安全を守り続けていかなければなりません。
本格的な半の沢の盛土工事は先ですが、JR東海と結んだ運搬に関する基本協定に基づき運搬を進めるよう関わり続ける必要があります。

 任期の4年間は、大規模災害の多い4年間でした。毎年、警戒本部を立ち上げ、昨年と一昨年は避難指示を出すほどの降雨が強まり、土砂災害の危険が迫り、天竜川が警戒水位を超えることが多く、避難準備、避難指示の情報を出すなど、発災寸前まで進むような状態です。

 防災体制に関しては、自主防災組織の危険箇所の見直しから、マニュアルづくり、指定避難所の施設改修などには特に力を入れてきましたが、一次避難所の整備や携わる人の育成など継続して取り組むことが山のようにあると思っています。

 任期最終の4年目は、新型コロナウイルス感染症防止対策と、経済活動の停滞、事業の継続の支援策に明け暮れた一年間でした。
 過疎化が進み、財政力の弱い村にとっては、独自の支援施策を打ち出すことは困難な中、新型コロナウイルス対策に特化した国の支援策は非常にありがたいものであります。ワクチン接種が進み、免疫をもつ国民が大多数になっても、地方経済の回復は、遅れるような気がします。それまで、村民生活、事業者、企業の存続に向けて、時期を失することなく策を講じていく必要があることは言うにおよびません。
今年も早い春になります。大草城址公園桜祭りは中止となりましたが、桜市の出店は、新型コロナ対策をとった上で縮小して実施とのことでありますので、関係者には、出店の約束事を守り安全に開催できることをお願いするものです。

 来る4月25日は、中川村長選挙と参議院長野県選挙区補欠選挙が同時に行われます。
コロナ禍の中で、政策の訴えも聞く有権者もどちらも未経験の選挙となりそうですが、議員各位もそれぞれご健勝にて取り組まれますよう祈念しまして、定例会閉会のご挨拶とさせていただきます。長期間のご審議お疲れ様でした。

令和3年3月19日 中川村長 宮下健彦