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《村長の部屋》 令和元年中川村戦没者戦争犠牲者追悼式 式辞

記事ID:0001372 更新日:2020年1月17日更新

 6月7日 中川村戦没者戦争犠牲者追悼式で式辞を述べました。
 中川村では、中国大陸での戦争、太平洋戦争でお亡くなりになった戦没者、そして戦争に巻き込まれ亡くなった多くの戦争犠牲者の皆様の御霊に哀悼の意を捧げるとともに、戦争を起こさない誓いを新たにする無宗教での追悼式を社会福祉協議会、中川村遺族会と共同で毎年開催しています。
 主催者を代表して、式辞を述べました。

式 辞


 本日ここに、中川村戦没者戦争犠牲者追悼式を開催しましたところ、お忙しいなかにも拘わらず、岩村伊那保健福祉事務所長、箕浦上伊那郡遺族会会長はじめご来賓各位、戦没者ご遺族の皆様など、大勢の方々のご臨席を賜り、追悼の式が静かに行われますことについて、主宰者を代表してお礼申上げます。誠にありがとうございます。
 昭和の時代に徴兵され、中国大陸や東南アジア諸国、南太平洋の島々など異境の地で、海洋で。また、本土防衛の最前線で激戦の地となった沖縄で戦死された兵士や従軍してなくなられた軍属の方々、多くの地元沖縄の皆様。
 国策とはいえ、中国大陸満州開拓に向かった同郷の皆様は、ソ連軍の参戦、侵攻により開拓地を捨て、祖国を目指した逃避行のなか、帰郷を夢に見つつ、兄弟、嬰児など多くの肉親を異境の地に失った皆様。
 敗戦後、極寒の地シベリヤ、モンゴル中央アジア各国に抑留され祖国の地を踏むことなく亡くなられた人々などを思うとき、このような多くの戦争犠牲者の尊い命の上に、今日平和に生活していられるありがたさを改めて思うものです。
 ましてや、一家の大黒柱を失いながら、戦後を懸命に生きてこられたご遺族の皆様の今日までの歩みは、戦後復興から奇跡的な経済発展を遂げ、豊かで平和な生活を今日手にしている私たちには計り知れないほどの悲しみ、苦しみの積み重ねがあったであろうと深く感じるところであります。
 改めて、戦没者戦争の犠牲になられた皆様に哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆様には心から敬意を表する次第です。
 世界を分けた大きな戦争を経験していない、知らない世代が、日本人の多数を占め、政治を司るようになりました。過去には、ベトナム戦争や中東紛争、アフガニスタンやイラクでの戦争など報道を通して知るのみですが、戦争は終わるどころか地域を換え、宗教を背景として姿を変え、住民を巻き込む内戦と化してきています。
 中東のシリアでは、イスラム武装勢力の樹立したイスラム国の壊滅を口実に露・米二つの大国の介入と、政府軍、反政府軍に加え、隣国の介入等で、多くの難民を生み出しています。イスラム国は当地で事実上消滅したものの、同調者によるテロが世界各地で引き起こされ、多くの無辜の民が犠牲になっています。
 これらは、日本が直接関わった戦争ではありません。平和のうちに暮らせることの尊さ喜びを改めてかみしめるとき、多くの日本人の犠牲のうえに、国民が個人として尊重され、日本国が再び戦争をしない、戦力を持たないことを誓い日本国憲法が成立し、第2次世界大戦後の世界を、更に混迷するというべき現世界の中で、私たちはそのもとで平和のうちに生存できていると改めて強く思います。
 現政府は憲法9条2項で禁じる集団的自衛権の行使を閣議決定し、安全保障法制を制定し自衛のための戦力と言ってきた自衛隊の海外への展開に道を開いてきました。南スーダンから撤兵しましたが、イスラエルが占領するゴラン高原に足跡を残すために、自衛隊を派遣しています。
 米国と北朝鮮のトップ同士の話し合いがベトナムで行われ、核兵器の放棄、経済支援の再開に向けて、朝鮮半島の安定化の前進に期待しましたが、一足飛びに行かない現実も見ました。軍事力を増す中国の脅威の対抗措置するためとして、護衛艦の航空母艦への改造、陸上レーダー網の基地整備など、際限の無い装備化は宇宙空間にも広がっていくとの報道もあります。
軍事力・防衛力強化という力による解決の前にやはり、外交による解決を探ることが第一なのだと思うと同時に、日本の立ち位置も外交を重視し近隣諸国との緊張のなかにも共存し共栄する道を重視し、切り開いてほしいものだと願うものであります。
 日本周辺が緊張状態にあるいまこそ、戦力を自ら縛り戦争を回避し、あるいはどちらにも加担せず、国民を戦禍から遠ざけてきた日本国憲法の理念を世界に広める時であると思います。
ここにきて、自衛隊を名実ともに合憲の実力組織として、違憲議論に終止符を打つためとし、憲法9条1項・2項をそのままに、9条の2条を追加し、「自衛隊の違憲論に終始符を打つ」として、憲法改正を政治日程に挙げる動きが強まっています。
 これを許せば、戦後七十余年にわたり、紛争、戦争に一線を画し軍事力を行使せずにきた日本の平和な歩みを止めることになると危惧するのは、私だけではないと思います。
 戦争の放棄、戦力の不保持そして交戦権の禁止を規定する日本国憲法に従い平和な日本を守り続けることが、戦没者戦争犠牲者の無念の思いに応えることであり、今を生き、子や孫に将来を引き継ぐ私たちの使命だと考えます。
 戦没者、戦争犠牲者の御霊の安らかなることをお祈り申し上げるとともにご遺族の皆様のご多幸を祈念申し上げまして、式辞といたします。

令和元年6月7日
中川村長 宮 下 健 彦

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