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《村長の部屋》 平成30年中川村戦没者戦争犠牲者追悼式 式辞

記事ID:0001352 更新日:2020年1月17日更新

 本日、中川村戦没者戦争犠牲者追悼式が中川文化センター大ホールで厳粛な中に執り行われました。上伊那保健福祉事務所長、箕浦上伊那郡遺族会会長、大島中川村遺族会会長、山崎村議会議長、宮木中川村民生児童委員協議会会長および荒井総代会長様等をご来賓に迎え、遺族会の皆様、村議会の皆様、民生児童委員および地区総代の皆様の出席のもとで慰霊祭が挙行されたこと報告いたします。
 主宰者を代表して、式辞を述べ、戦没者戦争犠牲者の御霊に対して、私たちがすべきこと、平和な日本を維持していくことをお誓いいたしました。
 戦後、70余年が過ぎて、ご遺族の皆様もお亡くなりになり、また、戦没者の甥や姪に当る世代も高齢化しているなかで、年々出席される皆様が減ってきています。このことは、仕方が無いとしても、1番恐れるのは平和な日本が当たり前と思っていること。多くの戦争犠牲者の上に、戦後ずっと平和を守る努力を続けてきたことなど、しっかりと思い起す機会が、空気が薄れていくことと思います。
 ご挨拶を掲載します。

式 辞

 本日ここに、中川村戦没者戦争犠牲者追悼式を開催しましたところ、お忙しい中にもかかわらず、伊那保健福祉事務所長、箕浦上伊那郡遺族会会長はじめご来賓各位、戦没者ご遺族の皆様など、大勢の方々のご臨席を賜り、追悼の式が静かに行われますことについて、主宰者を代表してお礼申し上げます。真にありがとうございます。
 徴兵され、中国大陸や東南アジア諸国、南太平洋の島々など異境の地で、また、本土防衛の最前線で激戦の地となった沖縄で戦死された兵士や従軍して亡くなられた軍属の方々、多くの沖縄の皆様。国策とは言え、中国大陸満州開拓に向かった同郷の皆様は、敗戦と同時に、祖国を目指した逃避行の中、帰郷を夢に見つつ、異境の地に果てた皆様。敗戦後、極寒の地シベリヤ、モンゴル中央アジアに抑留され祖国の地を踏むことなく亡くなられた人々などを思うとき、このような多くの戦争犠牲者の尊い命の上に、今日平和に生活していられるありがたさを改めて思うものです。
 ましてや、一家の大黒柱を失いながら、戦後を懸命に生きてこられたご遺族の皆様の今日までの歩みは、戦後復興から奇跡的な経済発展を遂げ、豊かで平和な生活を今日手にしている私たちには計り知れないほどの重さと悲しみ、苦しみの堆積があるのであろうと思うのです。
 改めて、戦没者戦争の犠牲になられた皆様に哀悼の意を表するとともに、ご遺族の方々には心から敬意を表する次第です。
 私は戦争を契機に新しく出発した日本で生まれ、戦争を実体験していない世代の1人です。戦争を経験していない世代が、日本人の多数を占めるようになりました。過去には、ベトナム戦争や中東紛争、アフガニスタンやイラクでの戦争など報道を通して知るのみですが、戦争は終わるどころか国を換え、宗教を背景として姿を変えますます激しさを増してきています。
 中東のシリアでは、露・米、2つの大国の介入とトルコ、イランなど同じイスラム教を国教あるいは信奉者が大多数の国の介入・支援の中で、政府軍、反政府軍に加え、国を持たないクルドの人々に加え、イスラム原理主義の国を造ろうとする勢力の3つ巴の内戦が繰り広げられ、多くの難民を生み出しています。空爆や砲撃で家族や財産を失った人々の中の一部の憎悪が、同調する若者も取り込み世界各国で爆弾や銃器による無差別テロを引き起こし、世界を震撼させる事態となっています。
 これらは、日本が直接関わった戦争ではありません。平和の内に暮らせることの尊さ喜びを改めてかみしめるとき、多くの日本人の犠牲の上に、国民が個人として尊重され、日本国が再び戦争をしない、戦力を持たないことを誓い日本国憲法が成立し、私たちはそのもとで平和の内に生存できていると改めて思うのです。
 政府は憲法9条2項で禁じる集団的自衛権の行使を閣議決定し、安全保障法制を制定し自衛のための戦力と言ってきた自衛隊の海外への展開に道を開いてきました。昨年7月の南スーダンでは、派遣自衛隊の国連平和維持活動中に内戦に巻き込まれる危険な状態にあったことが当時の日報で明らかになっています。
 核兵器の開発と大陸間弾道ミサイルを持つ核大国の仲間入りを宣言し、軍事大国の誇示に国家、支配層一族の存亡をかける北朝鮮に対して、米国は軍事的圧力をかけ続けてきましたが、ここにきて米国と北朝鮮のトップ同士の話し合いが近々行われるという報道に思うことは、軍事力による解決の前にやはり、外交による解決を探ることが第一なのだと思うと同時に、日本の立ち位置も外交を重視し近隣諸国との緊張の中にも共存し共栄する道を重視し、切り開いてほしいものだと願うものであります。
 日本周辺が緊張状態にある今こそ、戦力を自ら縛り戦争を回避し、あるいはどちらにも加担せず、国民を戦禍から遠ざけてきた日本国憲法の理念を世界に広める時ではないかと思います。ここにきて、自衛隊を名実ともに合憲の実力組織として、違憲議論に終止符を打つためとし、憲法9条1項・2項をそのままに、9条の2条を追加し、自衛隊を明記する自民党改憲案が示されました。国民投票に訴え、過半数の賛成を得て、事実上の海外での交戦に道を開く改憲を行おうという声が堂々と出ています。これを許せば、戦後70余年にわたり、紛争、戦争に一線を画し軍事力を行使せずにきた日本の平和な歩みを止めることになると危惧するのは、私だけではないと思います。
 戦争の放棄、戦力の不保持そして交戦権の禁止を規定する日本国憲法に従い平和な日本を守り続けることが、戦没者戦争犠牲者の無念の思いに応えることであり、今を生き、子や孫に将来を引き継ぐ私たちの使命だと考えます。
 戦没者戦争犠牲者の御霊の安らかなることをお祈り申し上げるとともにご遺族の皆様のご多幸を祈念申し上げまして、式辞といたします。

平成30年6月7日
中川村長 宮下健彦

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