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《村長の部屋》 中川村戦没者戦争犠牲者追悼式 式辞

記事ID:0001343 更新日:2020年1月17日更新

 本日ここに、中川村戦没者戦争犠牲者追悼式を開催しましたところ、お忙しいなかにも拘わらず、伊那保健福祉事務所長様はじめご来賓各位、ご遺族の皆様など、大勢の方々のご臨席を賜り、誠にありがとうございます。
 徴兵され、異境の地で、また、沖縄で戦死された兵士や従軍してなくなられた軍属の方々、国策とはいえ、中国大陸満州開拓に向かった同郷の皆様は、敗戦と同時に、祖国を目指した逃避行のなか、帰郷を夢に見つつ、異境の地に果てた皆様などを思うとき、平和な日本に生きる一人として激しく、心を揺さぶられる思いがしております。
 ましてや、一家の大黒柱を失いながら、戦後を懸命に生きてきたご遺族の皆様の今日までの歩みは言葉で表せないものがあることと思います。
 戦没者戦争の犠牲になられた皆様に哀悼の意を表するとともに、ご遺族の方々には心から敬意を表する次第です。
 私は戦争を契機に新しく出発した日本で生まれ、家族を持ち生活をしております。アジア・太平洋戦争敗戦から今年で72年を数え、戦争を実体験していない世代の一人です。戦争を経験していない世代が、日本人の多数を占めるようになりました。過去には、ベトナム戦争や中東紛争、アフガニスタンやイラクでの戦争など報道を通して知るのみですが、これらは、日本が直接関わった戦争ではありません。平和のうちに暮らせることの尊さ喜びを改めてかみしめるとき、多くの日本人の犠牲のうえに、国民が個人として尊重され、日本国が再び戦争をしない、戦力を持たないことを誓い日本国憲法が成立し、私たちはそのもとで平和のうちに生存できていると考えています。
 政府は憲法9条2項で禁じる集団的自衛権の行使を閣議決定し、安全保障法制を制定し自衛のための戦力と言ってきた自衛隊の海外への展開に道を開いてきました。昨年7月の南スーダンでは、自衛隊の国連平和維持活動中に政府軍と反政府勢力との内戦に巻き込まれる危機もありました。核兵器の開発と能力の誇示に国家の存亡をかける北朝鮮に対して軍事的圧力をかけるアメリカと行動を共にする自衛隊など、日本周辺が緊張状態にあるいまこそ、戦力を自ら縛り戦争を回避し、あるいはどちらにも加担せず、国民を戦禍から遠ざけてきた日本国憲法の理念を世界に広める時ではないかと思います。
 ここにきて、国際法が自衛権を認めることを盾に、憲法9条に3項を追加し、事実上の海外での交戦に道を開く改憲を行おうという声が堂々と出ています。これを許せば、平和な歩みを止めることになると危惧するのは、私だけではないと思います。
 戦争の放棄、戦力の不保持そして交戦権の禁止を規定する日本国憲法に従い平和な日本を守り続けることが、戦没者戦争犠牲者の無念の思いに応えることであり、今を生き、子や孫に将来を引き継ぐ私たちの使命だと考えます。
 戦没者戦争犠牲者の御霊の安らかなることをお祈り申し上げるとともにご遺族の皆様のご健康を祈念申し上げまして、式辞といたします。

平成29年6月8日
中川村長 宮下健彦

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