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《村長の部屋》 令和6年9月議会定例会 開会あいさつ

記事ID:0010594 更新日:2024年9月10日更新

 おはようございます

 中川村定例9月議会を招集致しましたところ、議員各位におかれましては、ご多用のところ定刻に参集いただき、誠にありがとうございます。

 9月に入り早朝の涼しさが増しています。快適な信州の気候を感じる反面、30度を優に超える日中の暑さには閉口する日が続いております。8月8日午後4時43分九州日向灘で発生した地震は、宮崎県日南市で最大震度6弱、マグニチュード7を記録しました。政府は、午後5時に2017年の制度開始以来初めて、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発し、南海トラフ地震防災対策推進地域に対して、地震発生から1週間は、日頃からの地震防災等の備えの再確認、揺れを感じたら直ちに避難するよう国民に対して注意を呼びかけました。これを受けて、長野県は同日17時に警戒・対策本部を設置し情報収集、振興局等と連携体制を敷き、村は、9日警戒本部会議を開催して情報を共有するとともに、今後の警戒体制・広報活動を確認して職員について警戒本部決定を伝え、万一に備える体制をとってまいりました。
 巨大地震注意を呼びかけた臨時情報は15日に解除となりました。今回の臨時情報発令に関しては様々な課題も取り沙汰されていますが、南海トラフ地震の想定震源域にある中川村では、マグニチュード7~8クラスの巨大地震が発生した場合、村では最大震度6弱の強い揺れが想定されており、甚大な被害が発生することは確実です。
 村は、9月1日の「防災の日」にあわせ、巨大地震が発生したという想定で避難訓練を予定しましたが、進度の遅い台風10号が31日から1日にかけて長野県に最も近づく予報を受けて、各家庭で備えていただくことを最優先し、集中訓練・各地区訓練を事前に中止しました。併せて、集中訓練終了後に予定した日赤奉仕団員の救護・AEDを使った救助訓練も中止となりました。
 幸い台風10号は、熱帯低気圧に勢力を急速に弱めて消滅し、伊那谷は大雨による河川の洪水、土砂災害に見舞われることなく済みましたが、台風の上陸した九州、遠く愛知県や神奈川県、更に遠く東北、北海道でも大雨を降らせ死者8人を出すなど大きな被害を生んだことを記憶に留めておくべき事と感じております。

 春から高温で推移したこともあり、稲の生育も早く、9月1日からのJAの受け入れ予定でしたが、台風に伴う降雨で4日からの稼働となっています。受け入れから晴天が続いていて、順調に刈取りが進んでいるようです。

 飯沼の棚田の稲刈りが9月5日に行われました。伊那食品工業株式会社の若手社員、上伊那振興局長はじめ県職員、村の職員と地域おこし協力隊員等総勢約70名が、地元「飯沼の棚田地域振興協議会」のベテラン農家による手刈りのコツの指導を受け、1日汗を流し棚田の稲刈りを行いました。コンバインでの収穫が殆どとなり、田んぼに入り手で苗を植え、手で刈り取るのは、村の中ではここ飯沼棚田や小学校以外見かけることがなくなりましたが、非常に貴重な稲刈り体験の場所として広く発信できるとおもしろいと感じています。

 早場米の新米の出回る8月に巨大地震発生想定、又台風10号の備えに対する警戒と食料の備蓄に多くの人が走り、同時に物流網が混乱したことなどで、食料品売り場から米がなくなる事態が全国で起きました。米がなくなる事態に、村が関与して確保出来ないかというお手紙もいただきました。一時的に、マルトシさんでも精米品がなくなる事態が生まれましたが、現在は、村内の専業農家の新米が並べられ、供給量不足はないそうで安心したところです。
 今年の米の消費は、好調なインバウンド消費が多かったことを挙げる人もいますが、美しい村連合サポーター企業である米匠庵(まいしょうあん)さんによれば、流通問題、トラック輸送の確保・運転手問題が根本にあるとのことです。
 米農家からみれば、安定した米の生産に励みたくても、米生産調整と米生産費用の値上がりのなかで、再生産につながる米の値段が確保出来ない事をもどかしく感じていると思います。事態は更に深刻で、機械代、肥料等生産費の値上がりで先行きが見えず廃業する大型米生産農家が出ています。食料農業農村基本法改正の4点の柱の一つである「国民に食料を届ける力の強化」をうたっていますが、農産物等について、消費者の理解を得ながら、食料システム全体の中で適正な価格形成の仕組みづくりを具体化する責任が政府にはあると改めて申し上げたい。

 8月29日発表の内閣府月例経済報告によりますと、総論で景気は一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。としており、判断の元である各論では、

・個人消費は、一部に足踏みが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

・設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は、概ね横ばいとなっている。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・企業収益は、総じてみれば改善している。企業の業況判断は、改善している。

・雇用情勢は、改善の動きがみられる。

・消費者物価は、緩やかに上昇している

との判断が、7月期との表現の変化となったものとおもわれます。

 個人消費、設備投資ともに持ち直している。輸出はこのところ持ち直しの動きが見られる。雇用情勢は改善の動きが見られる。としております。7月の報告で「兆し」という表現が「回復」という具体表現に変わっております。ただ、基調判断は、中国経済の先行き懸念が我が国の景気を下押しするリスクとなっていると明示をしています。

 中川観光開発株式会社の令和5年7月1日から令和6年6月30日の期間の第54期決算がまとまりました。今期の業績は、前期対比で申し上げますと、宿泊54,979千円11%増、宴会23,632千円82%増、風呂・売店・食堂等で34,002千円12%増、高齢者憩いの家、体験館等委託管理料収入24,476千円33%減、陣馬形山キャンプ場サイト使用料13,839千円の合計150,931千円13%増で前年比18,491千円の増、最終損益は1,077千円の黒字となり52期に債務超過に陥った状態から何とか脱することができました。とは言え、経営面ではコロナ禍で被った多額の損失と負債により依然厳しい経営状態にあります。先の全協でご説明しましたとおり、今期会社として経営改善に向けた実行計画を策定するとともに、村としても望岳荘の将来的な施設整備や運営方針等について、改めて検討していく考えであります。

 さて、今議会は申し合わせによる議会構成替え後、初の議会になります。今議会に審議をお願いしたく提出いたします報告・議案は、先ず、損害賠償の額の決定と和解が成立し、専決処分を致しました1件を報告し、続いて議案につきましては、村税条例及び国民健康保険条例並びに公共下水道条例の一部を改正する条例議案が3件、委員の任期満了に伴う教育委員任命案件が1件、同じく、委員の任期満了に伴うお2人の固定資産評価審査委員会委員の選任案件が2件、長野県後期高齢者医療広域連合規約の一部変更議案、道路改良及び河川改修工事請負変更契約がそれぞれ1件、村道路線の一部廃止議案が1件、令和5年度一般会計歳入歳出決算、3つの特別会計決算、及び同年度水道・下水道事業会計歳入歳出決算の6会計の決算認定議案、令和6年度一般会計補正予算はじめとする特別会計、補正予算合わせて3つの補正予算議案の計18議案であります。
 もう一つ、法務大臣任命の人権擁護委員候補者の推薦について、適任の方を議会に諮問いたします。

 令和5年度の決算審査をしていただくため21日間の長い審議日程ではありますが、慎重な審議の上に、賢明なご判断を賜わりご同意をいただきますようお願い申上げ、議会開会のご挨拶といたします。

 

令和6年9月10日  中川村長 宮 下 健 彦